森本是針の使い方の紹介

広島市 光ヶ丘鍼灸院 院長 飯田 寿

昨年は「森本是針について」と題して森本是針自体の紹介と簡単な使い方について紹介させていただきました。
今年は症例を元に、実際の使い方の一例を紹介させていただきます。

森本是針とは大阪の森本繁太郎先生が考案されたもので、視覚障害者の先生方を中心に、一部で使われている、新しい針です。全長約55ミリ、太さは1ミリ程度で先端の20ミリがその半分の太さに細くなっていて、両端が丸く面取りされ、穏やかな刺激が可能になっている銅製の棒です。

24歳 男性
職業 福祉介護
身長 180cm 体重73kg
主訴 腰痛
現病歴 4年前 腰椎椎間板ヘルニアを発症。一ヶ月間入院して保存療法をとった。それいらい慢性の腰痛。
既往症 胃潰瘍
臨床所見 腰部の過緊張。右下肢を軽く引きずりぎみに歩く。

ヘルニアになる前はジムで筋肉トレーニングをしていて、現在はトレーニングこそしていませんがたいへん筋肉質で大柄な男性です。
腰部の筋が、あたかも皮下に鉄の棒が入っているかのように堅くなっている症例で、森本是針による刺激で著効がありました。

 下腿後面を背部に見立てて森本是針で遠隔治療をすると共に腰部に直接刺激を加えました。
 実際には外果あたりを頸部に、足首を肩甲間部に委陽、委中あたりを腰部に見立て、森本是針を接触させる施術を行い、狭脊穴にも軽い刺激を与えました。
森本是針による施術時間は下腿後面、背部も含め、1分程度です。

直後に腰部の筋が脂肪のようにグニャグニャになり、著効がありました。
このあと、腰椎のストレッチをする手技を行い治療を終了しました。
施術時間は合計で5分程です。

これから会場に仮説ベッドを作り、希望者に実際に提針による実技の実演を行いますのでご協力をお願いします。

*この文章はH13.9.23に開催された、(社)全日本鍼灸学会広島地方会、(社)日本鍼灸師会(社)広島県研鍼灸師会の学術大会で実演されたものの要約です。

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