少し前の話ですが、代替療法についての私の意見を述べます。
いわゆる代替療法は、現在あらゆる形で普及していますが問題
点もいくつかあります。 具体的に述べますと以下のようになり
ます。
その1 科学的に、効果の証明は出来ても、なぜ治った
のかという裏付けがなされていない。つまり、メカニズムが良く
ワッカテイナイ。
その2 代替療法、特に伝統医学のなかには未だきちんと
体系化されていないものもある。 このことは、後継者育成が難
しいことや、未熟な治療者を粗製濫造していくことに結びつく。
他にもまだあると思いますが、今のところ思いつくのはそれくら
いかな。 あと、先の下井さんのメールで
>>日本の助産婦の
>「ツボ」についての発言がありました。それを聞いた外国の
>助産婦が「それはどの様
>に証明されているのですか」という質問に対し、日本の助産婦
>が「中国4千年の歴史
>で証明されています」と発言しました。
>その後、イギリスの助産婦が「エビデンス(証明・証拠)とは
>・・・・」という発言
>があったのですが、日本の助産婦は「???」という反応
というやりとりがなされていましたが、これについて補足があ
ります。
日本東洋医学雑誌 第45巻第2号 P345−350
1994年 で、骨盤位{ いわゆる逆子}に対する灸療法の
試みが、藤田保健衛生大学の病院産婦人科で行われたと記載
されていました。
骨盤位と診断された妊婦さん28症例に対して、足の3カ所の
ツボ( 三陰交・至陰・湧泉 ) に灸療法を行った。
治療開始時の妊娠週数は27ー34週、平均30,6週、
治療終了時の妊娠週数は27−37週、平均32,1週だった。
結果は、頭位を矯正することができたのは25例、矯正でき
なっかたのは3例で矯正率89、3%だった。
矯正出来なっかった3例には、他症例と比較して灸療法の開始
時期が遅かったようであるが、無事出産できました。
灸療法後の副作用もなく、 また妊婦さんも治療中に軽い
眠気を感じ、体の温まる感じがして、施行後に子宮
緊張の自覚症状がとれた、と答えてくれました。
考察で、灸療法施行により母体の子宮筋緊張を軽減することで
胎動が増加し、自動的に正常胎位とされる頭位もどるのでないか
と考えられていました。
以上の論文がでているので、ツボ療法にたいする証明の一つ
になるでしょう。
そうそう、初心者向けのツボ療法の本を紹介しておき
ます。
・タイトル 著者 出版社 定価
#ツボ豆辞典 芹沢勝助 健友館 ¥1000円
#手足のツボ刺激療法 中山仁二 大泉書店 ¥900円
#びっくり特効ツボ152 佐藤一美 マキノ出版 ¥1300円
質問や感想があれば、holly@d1.dion.ne.jp まで
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1998/12/16
この文章は上記の私の回答に対する
下井さんの質問に答えたものです。
>基本的な質問なんですが、灸治療って、保険はどうなってるんです
>か?
>頂いた資料には、東西医療の併用と書いてましたが、例えば産科で
>行う灸治療は、どうやって収入になるんでしょうか?
現在、鍼灸治療( 灸治療も含めて )を行う上で、保険請求が
出来るのは以下の5疾患だけです。
1,リューマチ 2,腰痛 3,五十肩 4,神経痛、
5,頚肩腕症候群
残りの疾患については、保険が一切下りません。
したがって、産科での灸治療は、保険の請求外になり、
あくまでサービスの一環程度に認識されているのが現状です。
そのあたりが、日本の医療制度の、現在の問題点に絡んでい
ます。
先進国のなかで、伝統医学を冷遇し規制が厳しすぎるのは
日本国ぐらいでしょう。
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1998/12/17
この文章は、前の文章に対して、再度下井さんが質問されたことに答えたもの
です。
>この研究で、灸療法を行わなかった人が、自然に頭位になる率との比較は行われて
い
>るのでしょうか?
答え 行われていません。
>自分で文献を検索しろといわれそうですが、もし堀本さんの手元にその論文があり
ま
>したら、おしえてください。
答え この文献は確か、下井さんのもとに私が郵送したはずですが
一度ご確認ください。
矢野先生(明治鍼灸大学・臨床鍼灸医学担当)の研究によると、
骨盤位について、灸治療開始週数が早いほど、矯正率は高く
なるらしいです。 具体的には、妊娠7ヶ月あたり( もっと言えば、
骨盤位であるとわかってすぐ )から灸治療を始めるのが最適です。
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